日商簿記検定1・2・3・初級 (公的資格)
今回は、日商簿記検定と、検定を活かした働き方について、税理士事務所勤務のあいこさんに実情を伺います。
税理士事務所勤務のあいこと申します。
2015年にLECで日商簿記検定2級を取得しました。
私は、短大を卒業後、一般企業で事務職をしていましたが、妊娠を機に退職。
子供が小学校に入学すると再就職を考え始め、ブランクも長かったので何か資格が欲しいと思い、簿記検定を勉強し、約4か月の勉強で2級に合格しました。
この資格は、誰でも真面目に勉強したら合格できますし、転職にとても役に立つ資格ですので、検討中の方の参考になるお話ができたら嬉しいです。
(なお、簿記1級につきましては、勤務先の税理士事務所の税理士と第一地銀勤務の渉外担当者の意見を参考に回答しています。)
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日商簿記検定試験の内容
簿記とは
簿記とは、企業で行なわれる取引を帳簿につけるための技術です。
日々の企業での活動(商品を仕入れた、商品が売れた、備品を買った、社員に給料を払った、など)を帳簿に記録することは、会社の決算申告に必要なことはもちろん、企業の経営成績と財務の状態を明らかにする上でとても重要です。
簿記を勉強すると
- 企業の経理事務に必要な会計知識がつく
- 企業の業況を分析することができるようになる
- コスト削減意識が身につく
- 税務申告を自分で行うことができる
というメリットがあり、社会人として働く上で必要な知識が身につきます。
日商簿記検定の取得は多くの企業で推奨されています
上記のことから、日商簿記検定の資格取得は、多くの企業で推奨されています。
資格を取ると、お祝い金が出たり、プラスの手当が発生したりする企業もありますね。
経理部門で働きたい方や、税理士事務所を始め個人事務所で働きたい人には、採用の必須要件のことが多いです。
就職・転職の武器にするためには2級の資格取得が望ましいですが、税理士事務所などでは、3級を要件としているところも多いです。
3級は短期間の勉強でも取得が可能ですので、3級と2級の同時受験をお勧めします。
日商簿記検定の内容は大幅に改定中です
日商簿記検定は、より実践的で現場に即したものにするために、大幅に改定中です。
出題範囲は、平成27年度に全面的な見直しが行われ、平成28年度からの3年間で、段階的に見直しがなされることになりました。
今後、実務に即した試験となることで、試験の信頼感もよりいっそう増していくものと考えられます。
日商簿記検定試験の合格率・難易度
日商簿記検定試験の合格率
<初級(平成28年度までは4級)>
期間 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
平成29年4月1日〜7月13日 | 1,230人 | 616人 | 50.1% |
<3級>
受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
平成28年11月 | 94,411人 | 42,558人 | 45.1% |
平成29年2月 | 80,832人 | 38,289人 | 47.4% |
平成29年6月 | 80,227人 | 40,880人 | 50.9% |
3年平均 | 85,156人 | 40,575人 | 47.8% |
<2級>
受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
平成28年11月 | 56,530人 | 7,588人 | 13.4% |
平成29年2月 | 60,238人 | 15,075人 | 25.0% |
平成29年6月 | 43,767人 | 20,790人 | 47.5% |
3年平均 | 53,511人 | 14,484人 | 28.6% |
<1級>
受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
平成27年11月 | 9,087人 | 873人 | 9.6% |
平成28年6月 | 7,792人 | 846人 | 10.9% |
平成28年11月 | 8,416人 | 783人 | 9.3% |
3年平均 | 8,431人 | 834人 | 9.9% |
出典:日本商工会議所・各地商工会議所HP
日商簿記検定試験の難易度
<初級>
簿記の基本用語や複式簿記の仕組みを理解するレベルです。
ごく簡単で合格率も5割以上の上にネット受験です。
初級は飛ばして3級からの受験で問題ないと思います。
履歴書に書いても、あまり役に立ちません。
ただし、全くの初心者の場合は、初級から順を追って勉強することで、3級の勉強に馴染みやすくなるというメリットはあります。
<3級>
基本的な商業簿記を修得し、企業の経理関連書類の適切な処理や青色申告書類の作成などがある程度できるレベル。
経営者や、経理に関わる人、金融機関の人であれば、最低限修得すべきレベルです。
1〜2か月程度、真面目に勉強すれば受かります。
履歴書に書けるのは、3級からという認識で良いと思います。
<2級>
企業の財務担当者に必須の、経営管理に役立つ知識を修得しているレベル。
高度な商業簿記や原価計算を含む工業簿記を修得し、財務諸表の数字から経営内容を把握できていないと受かりません。
商業高校においては、ここまで理解することが期待されます。
金融関係の人間で、受かっていれば、「勉強したんだな」と認められるレベル。
3級をマスターしている人が、3〜4か月真面目に勉強する必要があります。
ただ、受ける回によって、難易度がかなり変動していますので、たとえ落ちてしまったとしても、くじけず何度も受けましょう。
胸を張って、履歴書に書くことができます。
<1級>
公認会計士、税理士などの国家資格への登竜門で、合格すると税理士試験の受験資格が得られます。
極めて高度な商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算を修得し、会計基準や会社法、財務諸表などの企業会計に関する法規を踏まえて、経営管理や経営分析ができるレベル。
大学で専門で学ぶ者や、会計を専門とした仕事をする者に求められるレベルですが、一般企業で働いたり、金融機関で働く上では、簿記1級を学ぶのであれば他のことを…と言われる内容です。
専門職を目指す人以外は、勉強する必要な無いと思われます。
*初級〜1級の修得内容については、日商簿記検定試験を主催する、日本商工会議所・各地商工会議所のHPを参考にしています。
日商簿記検定試験の受験資格
学歴、年齢、性別、国籍は一切問いません。
また、どの級から受けても構いません。
例えば3級に落ちたとしても、2級も1級も受験可能です。
日商簿記検定試験の内容
初級
- 程度:商業簿記の入門レベル。
- 科目:商業簿記
- 合格基準:100点満点で70点以上で合格。
- 試験時間:40分
- 試験方式:インターネット
- 試験日:試験執行機関が日時を決定
- 受験料:2,160円(税込)
3級
- 程度:基礎的な商業簿記を理解し、経理関連書類の適切な処理や、青色申告書類の作成など、初歩的な実務がある程度できるレベル。
- 科目:商業簿記
- 合格基準:70%以上
- 試験時間:120分
- 試験方式:会場受験
- 試験日:6月、11月、2月
- 受験料:2,800円(税込)
2級
- 程度:高度な商業簿記・工業簿記を理解し、財務諸表の数字から経営内容を把握できるレベル。
- 科目:商業簿記、工業簿記(原価計算を含む)
- 合格基準:70%以上
- 試験時間:120分
- 試験方式:会場受験
- 試験日:6月、11月、2月
- 受験料:4,630円(税込)
1級
- 程度:大学で学ぶ程度の商業簿記、工業簿記、原価計算、会計学の他、財務諸表規則や企業会計に関する法規を理解しているレベル。
- 科目:商業簿記、工業簿記、原価計算、会計学
- 合格基準:70%以上
- 試験時間:180分
- 試験方式:会場受験
- 試験日:6月、11月
- 受験料:7,710円(税込)
日商簿記検定試験の資格取得後の働き方
- 現在の会社でそのまま働く方は、手当がついたり、キャリアアップになる可能性があります。
- 職種や、各企業によりますので、ご自分の会社での扱いについてご確認ください。
- 就職や転職を希望している人には、3級以上であれば良いアピール材料になります。
- 3級であっても、税理士事務所などで勤務が可能な場合もありますし、高卒であったり短大卒である場合にも、一定以上の学力があることを証明する材料になります。
- 2級であれば、各企業の経理担当への応募にも有利です。
日商簿記検定試験の勉強方法
初級は独学でも修得可能です。
3級も、独学でも修得可能ですが、勉強に自信のない方は、通信講座などで勉強する方が確実です。
2級も、独学でも修得可能な方もいらっしゃいますが、時間対効果を考えると、通信・通学講座の受講をお勧めします。
特に日商簿記検定は平成28年6月から平成30年までの3年間に渡って日商簿記出題区分表が改定されますので、どのタイミングで検定を受けるかにより、勉強内容が変わってきます。
ですので、大手受験校の指導に従い勉強する方が安心かと思います。
日商簿記検定試験のおすすめ通信(通学)講座
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現在変革期にある日商簿記検定試験を受けるなら、情報量が多く、生徒への反映が早い大手で学ぶのが良いです。
業界大手のLECで学べば間違い無いです。
おわりに
転職や就職の際には必ず役に立ちますので、受験を考えていらっしゃる方は、まずは初級・もしくは3級から、気軽に挑戦してみてください。