安全管理・危険物取扱

【危険物取扱者】合格者に聞く資格のすべて。勉強法など、知れば差がつく資格の現実。

資格名 危険物取扱者  (国家資格・必置資格)

管理人
管理人
こんにちは、資格の現実:管理人のみなみです。

今回は、危険物取扱者の資格と資格を利用した働き方について、合格者のよしとさんとひでさんにお話を伺います。

よしとさん
よしとさん
こんにちは。よしとといいます。

41歳で平成8年に資格取得。今はガソリンスタンドで働いています。

ひでさん
ひでさん
こんにちは、ひでと申します。

現在45歳。2000年頃に乙種4類の資格を取得し、製造業とガソリンスタンドで働いた経験があります。よろしくお願いします。

 

危険物取扱者の資格内容

発火性または引火性の高い物質や、燃焼を促進する性質のある物質の製造所、貯蔵所、取扱い所においては、危険物取扱者を置くことが、消防法で定められています。

例えば、ガソリンや灯油などを扱うガソリンスタンドがこれに当たります。

他にも、化学工場や石油タンク、タンクローリーなど一定以上の危険鬱を貯蔵したり取り扱う場合には、十分な知識と技術を持った取扱者が必要になりますので、危険物取扱者の設置が必要になります。

危険物取扱者の種類

危険物取扱者には甲、乙、丙の3種類があります。

甲種

消防法で定められた第1〜第6類までの危険物住めての取扱作業、立会い監督が行える。

乙種

第1〜第6類の危険物のうち、試験に合格した特定類の取扱作業、立会い監督が行える。

丙種

ガソリン、灯油、軽油、重油などの取扱作業が行える。

危険物の種類

消防法で定められている危険物は以下1〜6のとおり。

第一類:塩素酸塩類、過塩素酸塩類、無機過酸化物、亜塩素酸塩類、臭素酸塩類など。

第二類:硫化りん、赤りん、硫黄、鉄粉、金属粉、マグネシウムなど。

第三類:カリウム、ナトリウム、アルキルアルミニウム、アルキルリチウムなど。

第四類:特殊引火物、第1〜4類石油類、アルコール類など。

第五類:有機過酸化物、硝酸エステル類、ニトロ化合物、アゾ化合物など。

第六類:過塩素酸、過酸化水素、硝酸など。

危険物取扱者の試験内容

甲種

以下の三分野についての五肢択一式筆記試験

  1. 危険物に関する法令
  2. 物理学および化学
  3. 危険物の性質並びにその火災予防および消化の方法

乙種

六類に分かれ、以下の三分野についての五肢択一式筆記試験

  1. 危険物に関する法令
  2. 基礎的な物理学および基礎的な科学
  3. 危険物の性質並びにその火災予防および消化の方法

丙種

以下の三分野についての四肢択一式筆記試験

  1. 危険物に関する法令
  2. 燃焼および消化に関する基礎知識
  3. 危険物の性質並びにその火災予防および消化の方法

*乙種(1〜6類)のいずれかの類の免状を有するものは、他の類を受験する場合、上記乙種試験の①②の科目が免除される。

試験時間

  • 甲種:2時間30分
  • 乙種:2時間
  • 丙種:1時間15分

試験日

  • 都道府県および試験区分によって異なる。

東京都の場合、受験希望者が最も多い乙種第四類は月3回程度実施されている。

丙種と第四類以外の乙種および甲種は2ヶ月に1回程度実施。

受験手数料

  • 甲種:5000円
  • 乙種:3400円
  • 丙種:2700円

危険物取扱者の合格率・難易度

危険物取扱者の合格率

<平成29年度>

区分 受験者 合格率
甲種 5,847人 34.8%
乙種1類 4,042人 68.3%
乙種2類 3,889人 70.9%
乙種3類 4,239人 70.0%
乙種4類 71,990人 35.1%
乙種5類 4,394人 67.4%
乙種6類 4,840人 61.6%
乙種計 93,349人 42.5%
丙種 7,523人 54.4%
合計 106,764人 42.9%

参考:一般財団法人 消防試験研究センターHP

危険物取扱者の難易度

独学で合格を目指せるレベルで、あまり難易度は高くありません。

乙種第四類が圧倒的に人気で受験者数が多く、また圧倒的に合格率が低いです。

これは、試験が難しいのではなく、受験機会が多く、受験時期を気にしなくて良いところから、勉強が不十分な人も相当数受けているためであり、あまり合格率を気にすることはありません。

きちんとテキストを読み込み、過去問題集を数回繰り返せば、合格ラインに達することができます。

まずは圧倒的人気の乙種四類を取得して、一部科目免除を利用して他の類を受験するのが効率的です。

危険物取扱者の受験資格

乙種:丙種

誰でも受験可能。

甲種

①大学・短大・高専、専修学校などで化学に関する学科、過程を修めて卒業した者、またはこれに準ずる学力を有すると認められる者

②乙種危険物取扱免状の交付を受けた後、危険物製造所などにおいて2年以上の危険物取扱の実務経験を有する者。

③次の4種類以上の乙種危険物取扱免状の交付を受けている者

⑴第一類または第六類 ⑵第二類または第四類 ⑶第三類 ⑷第五類

危険物取扱者の仕事での活かし方

ひでさん
ひでさん
私が取得したのは、乙種第四類ということで、もっともポピュラーで身の回りでお世話になる可燃性液体を扱うための資格です。

実務としては、一番思い浮かべやすいのがガソリンスタンドで扱われているガソリン、軽油、灯油です。

これらは可燃性液体として使われていますが、身近ゆえ危険な扱い方、間違った使い方をすると非常に危険なことになる場合があります。

最近はセルフガソリンスタンドも増えましたね。セフルガソリンスタンドの従業員は何もしていないように見えるかもしれませんが、この危険物取扱者の資格が無いと、営業が出来ませんし、お客さんにセルフで給油してもらうことも出来ませんので、この資格を保持している人が必要になります。

ガソリンスタンドを経営、営業するためには必要不可欠な資格です。

危険物取扱者の合格者の平均年収は?

ひでさん
ひでさん
この資格だけを保有している方の年収というと、回答が難しいですね。

危険物取扱者は、燃料、薬品や化学工場、ガソリンスタンド等多業種で活躍していますので、働いている業種や会社によって異なります。

ただ、仕事先として最も多いところで例を挙げると、ガソリンスタンドでしょうから、年収としては300万円~450万円程度ですね。

私がガソリンスタンドで働いていた時も、年収としては300万円程度でした。

当然ガソリンスタンドですから、油脂類を販売しているだけでなく、タイヤやオイルを売ったり、整備作業をしたりと他の付加作業をこなす必要があるので、一概には言えませんが。

因みに工場に勤務していた時には、管理者が私を含め他に1名しかいなかったので優遇はされましたが、他の資格に関しても管理者をしていたので、年収は500万円を超えていました。

結局はこの資格単独で高年収が得られるかというと、なかなか難しく、この資格+αの何かが必要になると思います。

よしとさん
よしとさん
ひでさんに同意です。アルバイトでも、時給でいうと、1000円程度はもらえますよ。

危険物取扱者の将来性は?

よしとさん
よしとさん
乙種第4類はガソリンスタンドでの就業に一番役立つし、一番身近ではないかと思いますが、昨今の自動車事情によれば、燃費向上・電気自動車・車離れなどガソリンなどの販売数量は年々減少しています。

石油メーカーもいちはやくその問題を提起しており、他事業への参画や合併などの対応をしている現状だと思います。

ガソリンスタンドだけを考えてみるとあまり将来性はないかと感じる面はあります。とはいえ、ガソリン以外にも引火性液体を扱う業種はまだまだたくさんあるので、専門職への就業を検討しているのであれば、取得して損はないと思います。

ひでさん
ひでさん
確かに、ガソリンは代替物が普及するかもしれませんし、各家庭で使っている石油ストーブやファンヒータも割合は減少しています。

しかし、全てが電気等他の供給源に置換されるのは、すぐには無理で、何十年も掛かることでしょう。

また、工場などで油類を使わなくなるということは機械類が動かせなくなることになるのでこれも当面は無いと思っています。

なお、危険物全般を見ても液体だけでなく、固体も含まれますので、それらの物質が全て無くなるということは、まず当面ありえません。

ですので、この資格を取っておけば、少なくともこの先何十年かは効果があると思います。

 

危険物取扱者資格取得後、どのような流れで実際に稼ぐことができるようになりますか?

ひでさん
ひでさん
私の場合、工場内での油脂類の管理者が辞めてしまうので、急きょ資格を取って管理者になって欲しいというところから、資格取得が必要になりました。

実際に管理者になりましたが、資格手当ということで、月3000円程度の給与補助が付く程度でした。

また、ガソリンスタンドに勤務した際にも、営業するには必須資格であるにもかかわらず、手当としては数千円程度でした。

なお危険物資格を取っている人は日本に数名という希少価値のあるものでもないので、持っていて当たり前のような感じになっています。

とりあえずこの仕事をするには必要、といった感じでしょうか。

この資格を持っていれば将来安泰、高収入で生活安定というのとは程遠いと思っています。ただし、他に希少価値の高い資格を持っているのでしたら、貴重な存在として重宝されると思います。

よしとさん
よしとさん
資格取得後、すぐにガソリンスタンドで資格所持者として、責任者的な立場を任せられる可能性があります。

その他ひでさんに同意で、この資格+αがあることによって、稼ぐことにつながるかと思います。

危険物取扱者資格取得後、ステップアップするためには、どのような勉強や行動が必要ですか?

ひでさん
ひでさん
乙種では持っている類の資格でしか、管理者にはなれません。(例えば、引火性液体である4類を持っていて、引火性固体の2類の管理者は出来ません。)

上級資格として危険物取扱者甲種がありますが、これは乙種を3種類以上資格取得するか、大学等を卒業するか、実務経験2年以上のどれかで受験資格を得るか必要があります。

因みに私は実務経験2年以上で甲種の受験資格を得ました。甲種のレベルは、さすがに大学卒業で受験資格が得られるとあって、化学や物理などのレベルは乙種のそれと比較しても段違いです。(分かりやすく言うなら、乙種は中学レベル、甲種は高校レベル)

因みに私は高校で物理専攻でしたので、化学がさっぱりわからず、甲種の試験当日はお手上げ状態で落ちました。とはいえ、きちんと勉強さえすれば合格を目指せるレベルですので、ステップアップを目指すならこう類を取得したら良いと思います。

また、他の資格の幅を広げるなら、消防設備士も多くの種類があります。

危険物取扱者のおすすめ勉強方法

ひでさん
ひでさん
私が実践したこととして紹介します。

乙種は、物理化学のレベルは中学生程度ですので、参考書を読み込んで理解すれば問題ありません。危険物の特性に関しても、一般的な危険と言われる内容が主になるので、危険物資格の参考書を読破すれば問題ありません。

法規に関しては暗記科目になりますので、問題集と危険物参考書の相互理解が必須です。私の場合、法規のような暗記科目が苦手でしたので、勉強時間の半分は法規の勉強に費やしました。(学校からの距離が何mとか、距離に関する数値が覚えられませんでした。)

なお、受験までに時間が無い場合には、危険物資格試験を管理している”消防試験研究センター”で発行している問題集を購入して勉強するか、主催の講習会に参加して出題の傾向性や重要な部分を集中的に勉強する方法が有効だと思います。

私の場合は、講習会に参加したことで勉強範囲を絞ることができ、時間を有効に使うことが出来ました。

因みに勉強時間は、毎日仕事が終わってから2時間程度、休日は図書館に行って毎日5時間程を1か月間行いました。試験結果は自己採点で、物理化学と危険物の性質が各1問程度の間違い、法規が3問間違いでした。

よしとさん
よしとさん
私は、金銭的に余裕があれば有料の座学講座に参加をするのが最も効率が良いと思います。

講座に参加して、重要な部分をきちんとマスターすれば、かなり高い可能性で合格可能です。(体感では90%ですね、個人的な感想ですが。)

通常のテキストで勉強するなら、下記のものが一番おすすめです。合格者で使っていた人が多かったテキストです。

>>楽天で購入する

>>Amazonで購入する

おわりに。危険物取扱者の資格は役に立ちますか?どんな人におすすめしますか?

ひでさん
ひでさん
この資格が無いと、可燃性液体の管理が出来ませんので、会社には必要な資格だと思います。

因みに、年に一度消防本部の検査がありますので、その際に管理者としていろんな説明をする必要もあります。

役割は重要だと思いますが、資格を持っている人が飽和状態ですので、代わりはいくらでもいるという状態でしょう。

なお、この資格だけでは何かが出来ると言う状況はほぼありませんが、他の資格と複数持つことで大きな価値を持つことはあると思います。

例えば最近、定年後の仕事として人気のマンション管理資格というものがありますが、危険物資格以外にボイラー、電気主任技術者、など他の資格と同様に取得が必須ですのでそういう仕事に就きたいという人は、取っておいて損は無いと思います。

よしとさん
よしとさん
私はセルフスタンドの監視業務というのを経験していますが、仕事的に

  • お客様がきたらモニターで監視して、給油許可ボタンを押すだけ

という単純で楽な仕事です。

定年後のリタイアした世代の方にはうってつけの仕事だと思うので、そういう方にはとても役立つと思います。

RELATED POST