司法書士

現役【司法書士】に聞く資格のすべて。勉強法〜稼ぎ方まで、知れば差がつく資格の現実。

資格名  司法書士 (国家資格・独占業務)

管理人
管理人
こんにちは、資格の現実管理人のみなみです。

今回は、司法書士の資格と働き方について、司法書士のひとみさんに実情を伺います。

ひとみさん
ひとみさん
みなさんこんにちは。司法書士のひとみと申します。
私は地方国立大学卒業後、1年司法書士浪人をして、司法書士の試験に合格しました。

勉強は、TACで講座を受け、TACの自習室と大学の図書館で主にしていました。

司法書士は、女性も多く働き、独立している資格です。
2.3年、大学時代に真剣に勉強し、大学を卒業する年、もしくは1浪で受かっている人が周りには多いです。もちろん、社会人で働きながら資格を取得した人もたくさんいます。

司法書士試験は、膨大な勉強量が必要で、何年もコツコツと勉強を続けられる人でないと受かりません
1年半ほどで受かる人もいますが、ごく稀です。
ですが、その分将来が保証される資格です。

私の話が、この資格に興味を持っている皆さんの参考になれば幸いです。

司法書士の業務内容

司法書士の仕事は、大きく分けて以下の4つです。

  1. 登記業務
  2. 裁判業務
  3. 成年後見業務
  4. その他の業務

①登記業務について

メインは登記業務です。

登記業務を業として(報酬を得て継続的に)行うことができるのは、現在司法書士と弁護士に限られていますが、弁護士で登記業務をしている方はほとんどいません。

司法書士の登記業務は、

  • 不動産に関する権利の登記
  • 商業登記

の2種類です。

登記の手続きは難しいので、特に不動産登記に関してはほぼ必ず司法書士が関与します。

土地建物の権利が動くときには司法書士が必要になりますので、今後も司法書士の需要は減らないと考えられます。

不動産に関する権利の登記業務の内容

不動産の売買契約では、多くの資金が必要になりますので、通常銀行の応接室などで行いますが、この場には司法書士が欠かせません。

不動産の売買が行われるときには、司法書士が事前に対象不動産についての現在の権利関係の調査などを行います。

そして、取引の場で、取引をする人物の本人確認・意思確認、取引の対象不動産についての確認を行い、問題がなければ、銀行にその旨伝えます。

この司法書士のGOサインにより初めて取引をすることが可能になります。

その後、取引の場で預かった書類を元に登記申請をし、登記終了後に、預かった書類を売買関係者に返して、仕事は終了です。

不動産の売買は、多くの人にとって、人生で最も大きな買い物です。

取引現場はピリッとしていることが多いですが、取引終了時に関係者の見せるホッとした笑顔に、達成感がありますよ。

商業登記の業務内容

会社を作るためには登記をしなければなりませんが、多くの人はその法律知識を持っていません。

ですので、登記をするために必要な知識について、相談を受けます。

「こういう変更と登記をしたいけど、どうすれば良いのか?」という相談を受けて、場合によっては税理士や弁護士と連携してアドバイスをしたり、登記業務を行います。

弁護士よりも身近な法律のアドバイザーとして、最近は一般企業にもより身近な存在になっており、顧問契約を結ぶことも増えています。

②裁判業務について

2003年4月から、一定の研修と認定を受けた司法書士は、140万円以下の訴訟について簡易裁判所での訴訟代理権が与えられ、法廷に立って原告や被告の代理人として弁論活動をしたり、裁判外の和解交渉ができるようになりました。

弁護士業務の一部を分けてもらった形ですね。

簡易な裁判で、弁護士に頼むほどお金をかけたくないけど、一人で戦うと負けてしまうかも…
というような場面で、司法書士に頼む依頼者が増えています。

この代理権の発生により、法律相談業務や債務整理に関する業務も受けられるようになり、司法書士の仕事には幅が出てきています。

③成年後見業務について

成年後見制度は2000年4月にスタートしたもので、認知症や知的障害・精神障害などが理由で財産管理が難しい人に代わって、財産管理や身上監護に関する様々な法律事務や代理を行います。

成年後見人は、親族がなるのが一般的でしたが、今は親族以外の第三者が成年後見人になる割合が増加しており、後見人としては司法書士が最も多く、他は弁護士や社会福祉士がいます。

成年後見の仕事は、一度受けると先が長いので、あまり多く抱えると色々問題も出てきます。

なので正直、できれば避ける司法書士も多く、仕事がない司法書士の受け皿的な役割もあります…
が、その責任は重く、やりがいのある仕事でもあります。

④その他業務について

相続にかかわる業務や供託にかかわる業務など、司法書士が法律知識を活かせるフィールドはたくさんあります。

弁護士と司法書士にしかできない業務も多く、これからも働き方の選択肢は広がりそうです。

司法書士試験の合格率・難易度

司法書士試験の合格率

受験者数 合格率
平成26年 20,130人 3.8%
平成27年 17,920人 3.9%
平成28年 16,725人 3.2%
3年平均 18,261人 3.6 %

出典:法務省HP

司法書士試験の難易度

法曹界の最難関資格は司法試験(裁判官、検察官、弁護士になる資格)で、司法書士はそれに次ぐ資格です。

合格率を見ても分かるように、かなり難易度は高いです。

近年、受験者数は減少傾向にあり、合格率も下がっています。

3%という合格率を見ると、自分は絶対に受からないのではないかと思うかもしれません。

私も最初はそう思いました。

ですが、注意したいのは、受験する人全員が、今回の試験合格に向けて全力で準備してきた人たちでは無いということです。

司法書士試験は、誰でも受けることができる資格ですので、法律とは何の縁もなかった人も多く受験します。

また、膨大な勉強量が必要ですので、「必要な範囲を勉強しきってないけど、試しに受けてみる」という人も多く存在します。

なぜそれが分かるかというと、試験の途中でいなくなってしまう人や、かなりの時間が残っているのに寝始める人たちがいるからです。笑

しかも、結構な人数です。

ですから、一生懸命勉強した100人の内、上位3人が受かる、というようなものではありません。

受験をする100人の中で、すべての範囲を勉強し終えた30人くらいの中の上位3人、といったところでしょうか…
(完全に私の個人的な感覚ですのでご了承ください)

それでも、かなり難関であることに間違いはないです。

ですが、どんなに頑張っても手が届かない資格、ではありません。

それに、難関な分、得られる結果はとても大きいです。

司法書士試験の受験資格

誰でも受けることができます

法学部出身者に目指す人が多いですが、経済学部や文学部、理数系の人もいます。

大学で法律を学んでいないからと言って、諦める必要はありません。

司法書士試験の内容

筆記試験

午前の部

<多肢択一式>

  1. 憲法に関する知識
  2. 民法に関する知識
  3. 商法(会社法その他の商法分野に関する法令を含む)に関する知識
  4. 刑法に関する知識

午後の部

<多肢択一式>

  1. 不動産登記に関する知識
  2. 商業(法人)登記に関する知識
  3. 供託に関する知識
  4. 民事訴訟に関する知識
  5. 民事執行に関する知識
  6. 民事保全に関する知識
  7. 司法書士法第3条第1項第1号から第5号までに規定する業務を行うのに必要な知識及び能力

<記述式>

  1. 不動産登記に関する知識
  2. 商業(法人)登記に関する知識

口述試験(筆記試験合格者のみ)

  1. 不動産登記に関する知識
  2. 商業(法人)登記に関する知識
  3. 司法書士法第3条第1項第1号から第5号までに規定する業務を行うのに必要な知識及び能力

上記1〜3の知識について口述で回答。

試験日

  • 年1回。筆記:7月上旬 口述:10月中旬

申込期間

  • 5月上旬〜中旬

受験手数料

  • 8,000円

司法書士の資格取得後の働き方

  1. 司法書士として独立する
  2. 司法書士事務所に勤務する
  3. 法律事務所に勤務する
  4. 一般企業の法務部で働く

司法書士は、他の資格に比べても独立がしやすい資格ですが、独立するにしても、まずは司法書士事務所に勤務して、仕事を先輩司法書士に学ぶのが一般的です。

また、司法書士事務所に勤務して実務経験を積んだ後に、法律事務所に勤務して、弁護士などと連携して仕事をする形も最近は増えています。

一般企業の法務部で働くという選択肢もありますが、企業が司法書士資格者を採用する場合には実務経験を求めますので、企業で働くにせよ、まずは司法書士事務所に勤務して実務経験を積む必要があります。

司法書士の平均年収

開業しているかどうかで、かなり変わります。

司法書士は初めはほとんどが司法書士事務所に勤務し、実務経験を積みます。

いわば「勉強をさせていただいている身」ですので、多くの給料は望めません。

最初は月20万円〜30万円で、ボーナスもほとんどないと言った、一般企業並み(以下?)の収入から始まり、徐々に経験を積むとともに給料が上がります。

とは言っても、勤務社労士だと、600万程度で頭打ちかなという印象です。

それ以上稼ぐためには、開業が必要です。

開業して軌道に乗れば、1000万円超えは普通です。

同級生は女性ですが、大学卒業後一浪で司法書士試験に合格し、その後3年ほどで独立しました。

20代半ばでの独立ですが、知り合いの銀行員などをツテに仕事を増やし、かなり稼いでいるようです。

私は人見知りな性格で、営業などは向いていないので、独立する気はありません。

勤務司法書士で、十分満足しています

司法書士のステップアップ方法

司法書士一本で独立できます。他資格のように、ダブルライセンスはあまり必要ありません。
ただ、

  • 土地家屋調査士

の資格があれば、測量や表題登記申請も行うことができるので、不動産取引に必要な一連の仕事を自分でできるようになり非常に有利です。

また

  • 行政書士

があれば、会社設立に必要な手続きをすべて自分でできるようになりますので、これも良いです。

現在、資格市場は飽和状態と言われていますね。

弁護士を目指していたけれど、とれなくて司法書士になった方もたくさんいますし、司法書士も、資格さえ取得すれば稼げるという時代ではなくなりました。

今時は「弁護士も稼げない」と言われており、それは司法書士でも同じですが、その言葉にはちょっと語弊があって、
「資格を持っているだけでは稼げない。でも、無いよりはずっと稼ぐ武器になる」ことは変わらないです。

昔は、難関資格を持ってさえいれば、どんなに対人関係に難ありでも、ある程度仕事が得られました。

ちょっと変な人(失礼)でも、「〇〇先生、〇〇先生」と大切にしてもらえる時代がありました。

でも今は、営業力も必要です。ですので、コミュニケーション能力も高くないといけません。

営業能力が高い資格保持者は、今のご時世でも一般企業に勤めるよりは、ずっと高収入です。

司法書士試験の勉強方法

膨大な範囲を勉強するので、独学では効率が悪いと思います。無謀です。

資格予備校を利用すると、費用もかなりかかりますが、多くの人にとっては人生をかける資格試験だと思いますので、ある程度は投資をすることをおすすめします。

1回の試験で合格する人は一握りで、勉強開始から3〜4年で合格する人が一般的です。

とにかく、信じることができる予備校など講座を選びましょう

いろんなものに手を出す余裕はありませんので、決めたらその講座で学ぶことを全信頼して、全力投球する必要があります。

そのために、勉強の仕方はしっかり考えてください。

安い講座を選んだものの、途中から「本当にこの勉強法でいいのかな?」と不安になると…

本当に辛いですよ。

司法書士のおすすめ通信(通学)講座

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司法書士についてまとめ

独立の夢がある人や、バリバリ働いていきたい女性は、司法書士の資格を取ることで、それが叶うと思います。

ただ、資格さえあれば誰でも高給取りになれるということはありません

あくまでも、稼ぐための強いツールを手に入れるという気持ちで資格取得を目指してください。

気軽に始めて合格できるような資格ではありませんが、不景気のこの時期に高収入がかなり期待できる、数少ない資格です。

特に学生時代の時間があるうちに挑戦することは、自分の未来を明るくすると思います!

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