資格名 社会保険労務士 (国家資格・独占業務)
今回は、社会保険労務士の資格と働き方について、社会保険労務士のあいさんに実情を伺います。
社会保険労務士のあいと申します。
私は今、社会保険労務士歴は5年弱の勤務社労士で、年収500万円ほどです。
社会保険労務士は、最近女性にも稼げると人気の資格ですね。
私の周りでも、育休中に1年間勉強して資格を取得して転職をした人がいます。
また、総務部で働きながら資格を取り、年収アップの転職をした人もいます。
もちろん、高収入を得たい人、男性女性共に人気です。
私は、結婚に伴い地元を離れることとなり、新しい職を探す際に手に職をつけたいと思っていました。
そこで、結婚後に住んだ土地の大きめな社会保険労務士事務所に事務員として勤めながら、社会保険労務士資格の取得を目指しました。
社会保険労務士受験生を事務員として雇い、資格取得を支援してくれる事務所は多いです。
私は無事に1年間の勉強で合格し、今はその事務所で社会保険労務士として勤務しています。
社会保険労務士は、女性であっても家族が養える収入が得られるため、とても魅力的な仕事ですが、高年収を目指して独立して稼ぐとなると、その道のりは簡単ではありません。
実際に資格取得して、社会保険労務士として働く私が考える、社会保険労務士という資格と、社会保険労務士の将来性などについて、お話しします。
*当サイトでは、お名前と合格年度にて本人が判明する資格につきましては、年収や業務内容について本音をお話しいただくため、仮名を利用しております。
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社会保険労務士の業務内容
社会保険労務士の仕事は、従業員の「労働環境」を整えるための手伝いをすることです。
企業は「ヒト」「モノ」「カネ」で成り立ちますが、この「カネ」の部分を担当するのが税理士で、「ヒト」の部分を担当するのが社会保険労務士です。
ですので、「人事総務担当」の女性で、社会保険労務士資格の取得を目指す方も多いですね。
より具体的にお話しすると、社会保険労務士の業務は「社会保険労務士法」という法律で規定されている独占業務です。
独占業務というのは、「その資格を持っている人以外はしてはいけない業務」を指します。
業務内容としては、おおまかに言うと以下3つです。
- 書類の作成と提出の代行
- 事務代理
- 相談・コンサルタント業務
書類の作成と提出の代行
- 年金事務所・労働基準監督署・公共職業安定所(ハローワーク)などに提出する申請書や届出書など
- 賃金台帳や出勤簿など、企業で使用する台帳など
を、企業から依頼を受けて作成し、作成した書類を、行政官庁に提出する手続きを代行します。
ただし、近年は電子申請の手続きなども認められており、社会保険労務士に頼まずに、自らこういった手続きを行う事業所も増えています。
ですので、社会保険労務士の仕事のウェイトは、今後この書類の作成や提出代行から、以下の事務代理や相談・コンサルタント業務に移行していくものと考えられます。
事務代理
行政官庁から事業所への立ち入り検査などがあった場合に、事業主の依頼で、立ち会ったり、事業主に代わって意見を述べたりします。
書類の作成は出来ても、こういうケースの対応は、やはりプロの助言が必要になりますので、社会保険労務士の腕の見せ所です。
相談・コンサルタント業務
今後、より一層社会保険労務士に求められるようになる役割で、人事や労務に関する企業の相談に乗るのがこの業務です。
ただし、こちらの業務は、上述のものとは違い、社会保険労務士の独占業務ではありません。
なので、例えば一般の「企業コンサルタント(資格は必要ありません)」でも、できる仕事になります。
ですが、やはり専門知識があるのが社会保険労務士。
近年は、クロネコヤマトの問題にもあったように、労務環境の改善への要請は強く、事業主は従業員の待遇改善に尽力を尽くさなければなりません。
事業主としての「利益の追求」と「従業員の待遇改善」は相反する面もあり、社会保険労務士の腕の見せ所です。
法律に則り、企業の利益を追求しつつ、授業員も満足のいく待遇となるように、各企業に寄り添い、改善策を探っていきます。
社会保険労務士試験の合格率・難易度
社会保険労務士試験の合格率
受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
平成26年 | 44,546人 | 4,156人 | 9.3% |
平成27年 | 40,712人 | 1,051人 | 2.6% |
平成28年 | 39,972人 | 1,770人 | 4.4% |
3年平均 | 41,743人 | 2,325人 | 5.4% |
平成27年に、驚異の合格率2.6%を記録しています。
こんなものを見ると、誰も受ける気がなくなるのではないかと思いますが、平成16年〜26年の合格率は7〜10%で安定していましたので、平成27年が異常です。
ただ、平成28年も4.4%。
平成26年以前の10年での平均合格者数は約4000人ですから、明らかに合格者は減っています。
試験の難化には、「資格取得者数を減らしたい」という行政側の意図が見受けられますね。
今後も、この傾向は続くものと考えられます。
社会保険労務士試験の難易度
社会保険労務士の試験は、他の人と争う試験(上位何位までが合格)ではなく、明確に合格ラインが引かれていて、そこを突破した人はみんな合格できるシステムです。
必要な正解率は65%以上。
なので、合格率を気にすることなく、コツコツと自分のレベルを上げていくことが必要です。
後述しますが、社会保険労務士の受験要件は「短期大学・高専卒以上」です。
一定の要件がある中で、この合格率は、かなり難易度が高いように感じますが、独立目的ではなく、仕事のレベルアップのための資格取得であったりと、専業受験生があまり多くないことから、医師や弁護士、会計士、税理士などと比べると、断然狙いやすい資格であることは事実です。
比べるまでもありません。
なので、合格率だけで、ものすごい難関資格だと誤解しないようにしてください。
本気で効率よく取り組めば、仕事しながら1〜2年で資格を取得することも珍しくありません。
というよりも、受かる人は大抵、1〜3年の短期で受かっています。
浅く広く、基礎知識をしっかりと何度も繰り返し覚えこめば合格できる試験ですので、努力できる人なら誰にでも合格可能性はあります。
(会計士など、センスが必要な資格とは異なります。)
社会保険労務士の受験資格
社会保険労務士を受けるために必要な受験資格は、学歴、国家試験合格、実務経験の3種類あります。
下記のいずれかに該当し、受験資格を有することを明らかにすることができる書面を提出できると、試験を受験することができます。
学歴
- 4年生大学の卒業者または62単位以上の修得者、短大・高等専門学校(5年制)・修業年限2年以上の一部の専門学校の卒業者
- 修業年限が2年以上で、課程終了に必要な総授業時間数が1,700時間以上の専修学校の専門課程を終了した者
国家試験合格
- 司法試験予備試験、旧法規程による司法試験の第一次試験、旧司法試験の第一次試験または高等試験予備試験に合格した者
- 行政書士となる資格を有する者、弁理士・税理士・司法書士などの厚生労働大臣が認めた国家試験の合格者
実務経験
- 公務員として行政事務に通算して3年以上従事した者
- 社会保険労務士もしくは社会保険労務士法人、または弁護士もしくは弁護士法人の業務の補助の事務に通算して3年以上従事した者
- 労働組合または会社などの従業員として労働社会保険諸法令に関する事務に通算して3年以上従事した者
- 全国社会保険労務士会連合会の個別の受験資格審査により、学校教育法に定める短期大学を卒業した者と同等以上の学力があると認められる者
社会保険労務士試験の内容
試験科目
- 学科試験のみ
- 5肢択一式70問と選択式8問
- 択一試験:各問1点とし、1科目10点満点。合計70点満点
- 選択式試験:各問1点とし、1科目5点満点。合計40点満点
科目名
- 労働基準法及び労働安全衛生法
- 労働者災害補償保険法(労災保険法)
- 雇用保険法
- 労務管理その他の労働に関する一般常識
- 社会保険に関する一般常識
- 健康保険法
- 厚生年金保険法
- 国民年金法
(労働保険の保険料の聴取などに関する法律を除いた科目から出題)
(択一式試験の試験科目のうち②③は、それぞれの問題10問のうち3問が「労働保険の保険料の徴収等に関する法律」から出題される)
試験日
- 年1回。8月下旬に実施。
申込期間
- 4月中旬から5月下旬
受験手数料
- 9,000円
社会保険労務士の将来性
先述のように、社会保険労務士は、書類を作成して提出すれば良い仕事では無く、企業に寄り添い、コンサルティング能力を発揮していかなければならない仕事になっていきます。
社会保険労務士としての独占業務は、書類の電子申請化などにより今後も減っていくことが予想されますが、「従業員」の立場が強くなりつつある最近の風潮を考えると、コンサルタントとしての社会保険労務士の仕事は、むしろ増加していくと考えても良いと思います。
社会保険労務士資格取得後の働き方
- 独立開業(個人事務所から立ち上げ、社会保険労務士事務所または社会保険労務士法人の代表)
- 社会保険労務士事務所または社会保険労務士法人の職員
- 他士業との合同事務所
- コンサルタント会社などへの勤務
- 健康保険組合・厚生年金基金の職員
- 一般企業の人事総務担当者
社会保険労務士の平均年収
平成27年の厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、社会保険労務士の平均年収は、45歳で670万円となっています。
- 平均年齢 45.1歳
- 月額給与 423,400円
- 年間賞与 1,625,500円
- 平均年収 6,706,300円
また、男女の平均年収を比べてみると
- 男性 694万円
- 女性 631万円
と、あまり変わらないのが特徴的です。
(ただし、サンプルの母体が少ないので、必ずしも正確に事態を反映していない可能性はあります)
また、社労士の働き方はそれぞれですので、平均するのが難しいところがあります。
同期で、独立して1,000万円以上を軽く超えている人もいますし、資格を取得したものの、ほんの少しの手当てしか貰わずにそのまま企業に勤務している人もいます。
社会保険労務士として稼げるようになる為の道のり
まずは、社会保険労務士事務所に勤めて、社会保険労務士としての実務経験を積みましょう。
研修制度は充実していますので、いきなり独立することも可能ですが、よほどの営業力や人脈がなければ、相当厳しいです。
いきなり独立する場合は、しばらく(1〜2年)は収入は見込めないものとして、当面の生活費の用意も必要です。
社会保険労務士事務所に3〜5年ほど勤務してみて、経験を積み人脈も作り、自信がついたら独立します。
それまでに作り上げた人脈の中から紹介を受けたりして、顧客を獲得します。
現在は、国が中小企業支援のために、様々な専門家派遣制度への補助金を出していますので、そういうものを利用することも可能です。
*専門家派遣制度とは
「ミラサポ」などのように、中小企業事業者が無料or格安で専門家に悩みを相談できる制度のことです。各都道府県の産業振興財団や信用保証協会なども行っています。専門家には、運営団体や国などから報酬が支払われます。
中小企業支援のための制度で、専門家にとっては、報酬が割に合わないこともあります(逆に、わずかな仕事で報酬を得ている人もいます)が、独立したての社会保険労務士などが、仕事を得るためにはとても便利な制度です。
このような制度で出会った顧客を、制度終了後に、自分の顧客としている士業の人間は多くいます。
また、この制度で中小企業者に感謝される仕事をすると、さらにその企業者が他の企業者に紹介し…と、どんどん仕事が回ってくるようになります。
この業界で大切なことは、一つ一つの仕事で結果を残し、良い口コミを広げてもらうことです。
税理士、弁護士、産業振興財団、信用保証協会、中小企業者…など、関わる様々な分野の人間と良い人脈を作れば、仕事は増えます。
社会保険労務士のステップアップ方法
社会保険労務士資格を取得すると、「特定社会保険労務士」の受験資格を得ることができます。
特定社会保険労務士は、労使間の個別労働紛争の解決手続において、代理人として紛争の解決に関わることができる資格です。
この資格を取得し、活躍のフィールドを広げる方法があります。
また、中小企業診断士、ファイナンシャルプランナー、年金アドバイザーなどの資格を取得すると、人事労務の仕事をする上で専門分野が広がります。
1企業の担当をする中で、上記のような資格の守備範囲の問題が出てくることは日常的なことです。
企業にとって、相手の守備範囲など知ったことはありませんから、お話を伺う中で、こういった相談が出てきますが、自分の守備範囲外だと、他の専門家に仕事を振らなければなりません。(他業種に仲良しさんがいれば、軽い話なら教えてもらいます。もちろん、他業種の独占業務に入らないもので、ですし、ギブアンドテイクの精神が必要です)
開業思考の方は、行政書士もとっていますね。
行政書士も、単独で独立開業するのはなかなか厳しい資格ですので、社会保険労務士と合わせて守備範囲を広げている方が多いです。
社会保険労務士試験の勉強方法
社会保険労務士試験は、広い出題範囲をまんべんなく勉強しなければなりません。
科目ごとに基準点がありますので、苦手分野を作らないことが大切です。
独学でもやれないことはありませんが、短期集中で合格するためには、通信教育や通学の方がオススメです。
社会保険労務士のおすすめ通信(通学)講座
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フォーサイト | |
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2016年度の合格率が全国平均4.4%のところ、17.2%と全国平均の3.91倍。 読みやすいフルカラーテキストと、専用スタジオで撮られた品質の良い講義動画がウリ。 また、テキスト、問題集、講義、確認テストなどすべての教材が、スマホで見ることができる。 |
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受講形態 | 通信講座 |
コース設計 | ①CDコース②DVDコース③CD+DVDコース |
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私はフォーサイトで受講しました。
決めた理由は、無料の資料請求でもらったサンプルを見て、とても見やすかったからです。
小学校の教科書並みのフルカラーです。
良かったのは、講義をしてくださる加藤先生に、クセが無かった事です。
巷の名物教師というと、話し方だったりにクセがあるイメージがありますが、加藤先生は、声も聞き取りやすく穏やかで無駄に声を張ったりしないし、喋り方にもクセがない。
良くも悪くも普通なんですが、繰り返し繰り返し何度も聞くものなので、私としては聴きやすくて良かったです。
車で通勤中にDVDを流していましたが、耳からの情報だけでもすんなり理解して覚えることができました。
解説はとても分かりやすかったので、分からなくて疑問が残るということも無かったです。
あと、「新人社労士マンガ」が意外とすごく良かったです。
社労士になって、どんな風に働くのか具体的なイメージが湧きました。
昔よく来た進研ゼミの宣伝マンガに似た雰囲気ですがw楽しみに読んでいました。
私はフォーサイトの使用で合格しましたので、オススメなのですが、教科書等には好みもあると思いますので、サンプルを見てみるのはかなり良いと思いますよ。
社労士の勉強を始めること自体を迷っていらっしゃる方も、これを見たら勉強のイメージが湧いて良いと思います。
>>フォーサイトの資料請求で社会保険労務士についてもっと学ぶ方はこちら
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TAC | |
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周りの合格者で多かったのは、TACです。
私も、模擬試験はTACのものを受けていました。やはり、実績と会社規模から、社労士試験への対応が早いなと思います。
段階別のカリキュラムがあるのもいいですね。1年間独学で、2年目はTACに行ったという人もいました。
通信講座ならフォーサイト、教室受講ならTACがオススメです。
社会保険労務士のまとめ
その分、誰にでも気軽に薦められるような、気軽に手を出せる資格ではありませんが、正しくコツコツと努力をすることができる人なら、合格できる資格です。
社会保険労務士の仕事は、人と関わり、人の役に立つために働きたいと考える人にとっては、やりがいをしっかりと感じられる魅力的な仕事です。
仕事に誇りを持って働きたい方には向いていると思います。
また、こちらの社労士通信講座のサイトのおすすめ比較記事も、参考になります。