資格名 弁理士 (国家資格・独占業務)
今回は、弁理士の資格と働き方について、弁理士のかずさんに実情を伺います。
弁理士のかずと申します。
現在、特許事務所に弁理士として勤務しています。
大学在学中にTACで勉強し資格を取得しました。
よろしくお願いします。
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弁理士の資格内容
弁理士は、知的財産システムに関するプロフェッショナルです。
弁理士の主な仕事は
- 商品に関する特許
- 実用新案
- 意匠(斬新なデザイン)
- 商標(商品やサービスのマーク)
を特許庁に出願する手続きを代行することです。
知的財産分野では最難関と言える国家資格なので、弁理士として独立することはもとより、就職にも有利になります。
国際出願などのニーズも増えているため、語学力などもあると有利ですし、幅広い分野での豊富な知識が要求されます。
弁理士の試験の合格率・難易度
弁理士試験の受験者数と合格率の推移
受験者数 | 合格率 | |
平成25年 | 6,780人 | 10.5% |
平成26年 | 5,599人 | 6.9% |
平成27年 | 4,798人 | 6.6% |
3年平均 | 5,724人 | 8.0% |
弁理士試験の難易度
弁理士試験のここ3年の平均合格率は8%で、10%を切っており、とても難易度の高い試験だと言えます。
ただし、学歴や年齢による受験者の制限はありませんので、受験層も幅広いです。
また、弁理士の試験は、マークシート、論文試験、面接の3段階方式で、マークシートの試験に合格すれば、その後2年間はマークシートの試験が免除となるため、長期戦で挑めば難攻不落の試験ではありません。
弁理士の受験資格
誰でも受験することが可能
弁理士試験の内容
短答式筆記・論文式筆記・口述に区分して、次の科目について筆記試験を行う。
短答式筆記
- 工業所有権(特許、実用新案、意匠、商標)に関する法令
- 工業所有権に関する条約
- 著作権法
- 不正競争防止法
論文式筆記(短答式筆記試験合格者のみ)
<必須科目>工業所有権に関する法令3科目
- 特許法+実用新案法
- 意匠法
- 商標法
<選択科目>受験願書提出時に下記の6項目から1科目を選択
- 理工Ⅰ(機械・応用力学):材料力学、流体力学、熱力学、土質工学
- 理工Ⅱ(数学・物理):基礎物理学、電磁気学、回路理論
- 理工Ⅲ(化学):物理化学、有機化学、無機化学
- 理工Ⅳ(生物):生物学一般、生物化学
- 理工Ⅴ(情報):情報理論、計算機工学
- 法律(弁理士の業務に関する法律):民法
口述(論文式筆記試験合格者のみ)
工業所有権に関する法令(特許法+実用新案法、意匠法、商標法)についての口頭試問
試験日
- 短答式筆記試験:5月中旬〜下旬
- 論文式筆記試験:必須科目(6月下旬〜7月上旬)
- 選択科目(7月下旬〜8月上旬)
- 口述試験:10月中旬〜下旬
受験手数料
- 12,000円
弁理士資格取得後、実際に稼ぐことができるようになるには?
自分で特許事務所を開業する場合
開業をしたとしても、弁理士の資格を持っているだけでは、クライアントも依頼はしてきません。
企業経営やビジネス等に関する深い知識や、ある分野での専門知識等、多くの知財に関する経験を持っている弁理士に仕事が集中する傾向にあるため、実際に稼げるようになるためには、資格取得後も継続的な勉強を欠かさないことに加え、実績を積んでいく必要があります。
開業前に、まずは企業の知的財産部門か特許事務所などで経験を積むことをおすすめします。
就職する場合
企業の知的財産部門や特許事務所に就職すると、資格を活かすことが出来ます。
最近は海外の特許事務所で働く人も増えています。
弁理士の平均年収は?
弁理士の年収は平均で700万円程度です。
ただ、勤務先や経験値などでも大きく差が出ます。
一般企業に勤めている場合は、弁理士資格を持っていても大して手当が付かない場合が多いです。ついても月に5万円程度でしょう。
特許事務所だと平均年収はプラス100万円程度になります。
専門性が強くなるほど、年収も高くなる傾向にあります。
弁理士の将来性は?
国内の特許出願件数はこの10年間で20%以上減少しており、日本から海外への特許出願件数も頭打ちになっていることからすると、特許出願の総数が今後大きく増えることはなさそうです。
しかし、顧客企業から期待されることは大きくまた多岐に亘っており、弁理士の将来が暗いものとは思えません。
また、特許出願業務をAIで代替しようとする動きがあります。そのため、人工知能に追いつかれないようにクレーム(特許請求の範囲)作成のスキルを日々高めるように努力していくことが大切だと思います。
弁理士資格取得後、ステップアップの道はどのようなものがある?
弁理士のステップアップとして、知財コンサルや企業の経営企画部門等があります。
ただし、新しい広がりを求めるほど、知財から離れていく傾向にあります。
また、知り合いが企業の監査役に就任した例があります。企業の監査役は、重鎮の経営者か、弁護士・会計士といった士業が就く例がほとんどですが、弁理士は知財はもちろん、技術と法律の専門家であって、企業経営の監査をするには意外と適した能力を持っていると思います。
そのようなキャリアが広がればよいと思います。
弁理士のおすすめ勉強方法
私はTACで勉強しました。勉強に必要な時間は3,000時間弱と言われています。
どれだけの時間を勉強にさけるかにもよりますが、年数でいうと、2〜4年かかるのが一般的です。
難関資格ですので、独学よりきちんと体系立てて専門学校で学ぶ方が効率的です。
TACだと費用は40万円程度かかりましたが、2年間の学習で合格出来ました。
TACは合格実績も高く、私の周りではTACで勉強して合格した人が多いです。
おわりに。弁理士の資格は、役に立ちますか?
ただ、専門知識を磨き、需要のある分野で力を発揮することが出来れば、一般のサラリーマンよりは稼ぐことは出来ます。
どんな仕事もそうですが、自分次第ですね。資格は、自分の武器の一つに過ぎません。
独立したら自分の力で収入を増やしていけるというのは、面白いですよ。