資格名 中小企業診断士 (国家資格)
今回は、中小企業診断士の資格内容・おすすめ勉強法・将来性・稼ぎ方などについて、中小企業診断士のたかしさんに実情を伺います。
濃く・長い内容ですので、気になる内容は目次から飛んでいただいたら見やすいです。
2010年に、TACを利用して資格を取りました。中小企業診断士歴は9年になります。3年前に独立し、年収は1200万円ほどです。
最近は、国が中小企業者の支援に力を入れる中で、中小企業診断士の存在感も増してきていますね。
以前は、「机上の空論を述べるコンサル屋」なんてイメージもあり、そのイメージが嫌で、診断士資格を取得したにもかかわらず、診断士であることを伏せて(名刺に書かずに)コンサルタントをしている仲間もいましたが、今はそのイメージも少しずつ変わりつつあるように感じます。
中小企業診断士というのは、とてもやりがいのある面白い仕事です。
お客様との関わり方も直接的ですし、結果が目に見えて現れることも多々ありますので。
また、独立してやっていかなくても、政府系金融機関や一般企業への転職などにも役に立つ、勉強しがいのある資格です。
大手企業でもこの資格は高く評価されていて、管理職以上で取得している人が多いです。
資格の勉強を通じて、アメリカのMBAのような知識を得られるので、ビジネスをやりたい人は、学んで損はないですよ。
このページが、中小企業診断士試験の受験を悩んでいる方の参考になれば幸いです。
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中小企業診断士の業務内容
独立系の中小企業診断士の場合
中小企業診断士の仕事は、企業の経営状態を総合的に診断し、改善支援などのコンサルティングをすることです。
企業の決算書や業務内容を確認して、その企業の長所や短所を見極め、利益最大化のためにはどのような改善をすればいいかを探ります。
例えば、優良な競合他社と比較して、どの部分に経費をかけすぎているかを見極め、圧縮すべきかどうかの判断やその方法を提案したり、業績改善のための設備投資をする際に必要な資金の借入方法を提案したりと、その内容は多岐に渡ります。
中小企業診断士は、中小企業の業務全般に関するコンサルタントとして、国が認めた資格です。
それぞれ全く違うことをしていると思うのですが、それぞれにきちんとコンサルタントなんて、できるんですか?
もちろん、データとしては様々な業種について、平均値というか、一般論的なデータは持っているのですが、やはり自分の経験に特化した得意分野をそれぞれ持っていますよ。
独立系の中小企業診断士は、それぞれに得意分野を持っています。
例えば、製造の業界で長く働いていた後に診断士資格を取得して独立した診断士は、製造管理などに特化しており、製造業などのコンサルタントをやっていますし、金融機関で働いていて独立した診断士は資金繰り関連に詳しいです。
最近は、経営改善計画を作成する業務も多いですね。
国が中小企業支援に力を入れていますので、資金を得るために、国やらの補助金を利用して経営改善計画を作成し、金融機関から資金の借り入れをする事業者が増えています。
金融機関出身者は、この辺りが得意で力を入れています。
私の場合は、長く保険業界で働いていたこともあり、「売上アップ」へのコンサルティングが強みです。
広告宣伝のやり方などですね。
診断士業界は現状、売上アップなどのコンサルに強みを持つ診断士が少ないように感じます。おかげさまで多くコンサルティングのご依頼を頂いています。
なので、普通にサラリーマンとして何らかの業界で働き、知識やノウハウを取得した後に、その業界のコンサルタントとして独立するのがオススメですね。
中小企業診断士資格を持って、社内で働く場合
ただし、中小企業診断士の資格を取って、企業内で働くのであれば、この限りではありません。
中小企業診断士の資格を取るためには、企業運営の為に必要なあらゆる知識(経営に必要な「ヒト」「モノ」「カネ」すべてに関わる知識)を取得しなければなりませんので、中小企業診断士の資格を取得した人間は、企業にとって必要な戦力になりえます。
冒頭でもお話ししたように、大手企業の管理職以上で取得者が多いです。
難関資格ですので、車内評価もアップしますし、「企業経営全般に関するコンサルティングを行う能力を持っている」ことを証明する資格ですので、どんな会社でも役に立ち、転職時のアピールポイントにもなります。
中小企業診断士試験の合格率・難易度
中小企業診断士試験の合格率
一次受験者数 | 一次合格率 | 二次受験者数 | 二次合格率 | |
平成26年 | 13,805人 | 23.2% | 4,885人 | 24.3% |
平成27年 | 13,186人 | 26.0% | 4,941人 | 19.1% |
平成28年 | 13,605人 | 17.7% | 4,394人 | 19.2% |
3年平均 | 13,532人 | 22.3% | 4,740人 | 20.8% |
中小企業診断士試験の難易度
だからこそ、取る意味がある。
また、資格の難易度は、数字を見るだけでは見えてきません。
そのあたり、詳しく説明しますね。
中小企業診断士の試験は、簡単ではありません。
一般的には、国家資格の最高峰が弁護士、公認会計士、司法書士と言われており、その少し下に税理士、さらに少し空いて、社会保険労務士や行政書士と同程度の難易度で中小企業診断士があると言われています。
が、実感としては、行政書士と並べられては困るかな…という印象です。(失礼な言い方ですみません)
中小企業診断士は横のつながりが濃密で、行政書士や社会保険労務士とのダブルライセンスも多数います。
その人達とも話した上で、感触としては、難しい順に
中小企業診断士、社会保険労務士、行政書士、ですね。
もちろん、試験内容がかなり異なるため、向き不向きにもよりますが。
この3業種を比べると、中小企業診断士の学歴が、圧倒的に高いなというのが印象です。
そもそも、中小企業診断士はその難しさの割に知名度は低く、診断士試験を受けようとする人間が、政府系金融機関の人間であったり、大手銀行員だったり、大企業の管理職以上だったりします。
となると、そもそも学歴レベルが自然に高くなります。
また、弁護士や公認会計士などとのダブルライセンスも多いです。そういった、資格の最高峰を取得しているレベルの人たちと同じ試験を受けます。
そして、特徴的なのが、二次試験が実質的に「相対評価」であることです。
中小企業診断士の試験には、一次試験・二次試験・口述試験があります。
一次試験は絶対評価ですし、二次試験も建前は絶対評価ですが、実質は相対評価なので、そういう超ハイスペックな人たちと争うことになります。
また、ほとんどの人が仕事をバリバリしながら死ぬ気で勉強して受験をしてきます。
なぜなら、職務上必要(顧客を増やすためだったり、その資格を取らないと出世ルートには乗らなかったり)だからです。
モチベーションが高いです。「なんとなく、勉強してみました」では、太刀打ちできなくて当然です。
ですが、だからと言って受からない資格でもありません。
必死で努力すれば、仕事をしながら取れる仕組みです。
一次試験の合格実績は翌年まで有効なので、一次試験に合格したら、その年に二次試験で落ちてしまったとしても、翌年は二次試験だけ受けることができます。
また、科目合格制が採用されており、7科目を3年間以内に合格すれば良いので、最初から2〜3年計画でとることもできます。
私の周りでは、2年で資格を取得している人が多いですね。
1年で取得している人ももちろんいますが、やはり高学歴です…。
ちなみに、私も2年で資格を取得しました。
残念ながら大した学歴の持ち主ではないので、計画的にコツコツかつ必死に勉強しました。
中小企業診断士は難関資格ですが、難攻不落の資格ではありません。
だからこそ、努力して資格を取得すれば、努力に見合うリターンが得られる資格です。
中小企業診断士の受験資格
ありません。誰でも受けることができます。
異色ではありますが、中卒、飲食業フリーターからの診断士が仲間にいます。
飲食業界メインにやっている独立系の中小企業診断士ですが、稼いでいますよ。
診断士を受ける人間で、小売業に実際に長く従事していた人の割合ってあまり多くないので、特色が出ていていいですね。
実力があれば、学歴は関係ありません。
中小企業診断士試験の内容
一次試験(筆記試験・多肢選択式)
試験科目
- 経済学・経済政策
- 財務・会計
- 企業経営理論
- 運営管理(オペレーション・マネージメント)
- 経営法務
- 経営情報システム
- 中小企業経営・中小企業政策
科目合格制
一部の科目のみに合格した場合、翌年・翌々年での試験では、申請によりその科目の試験は免除される。
3年間で7科目すべてに合格すれば、二次試験受験資格が得られる。
二次試験(筆記試験・口述試験)
筆記試験
中小企業の診断および助言に関する実務の事例Ⅰ〜Ⅳ
口述試験
筆記試験に、相当の成績を修めた者に実施される
二次試験合格後
- 15日以上の実務従事
- 実務補習修了
いずれかにより、中小企業診断士の登録申請ができるようになる。
*中小企業診断士の登録の有効期間は5年間で、更新するためには
- 新たな知識補充のための理論政策更新研修、論文審査または研修の指導を5回以上行う
- 診断実務に30日以上従事する
という条件を満たすことが必要になる。
試験日
- 一次試験:8月上旬に2日間
- 二次試験:筆記は10月下旬の1日。口述は12月中旬の1日。
申込期間
- 5月(平成29年度は5月2日〜5月31日)
受験手数料
- 一次試験:13,000円
- 二次試験:17,200円
中小企業診断士の将来性。今後、どうなる?
まず、独立系の中小企業診断士の活躍の場は広がっています。
大企業の業績改善により、日本は「景気が回復傾向に有る」らしいですが、「それは一体どこの国の話ですか?」と言いたくなるくらい、中小企業は苦境に立たされています。
リーマンショック時に膨らんだ借金の返済が追いつかず、借金を返すために借金を重ね、ついには借金が出来なくなって、返済猶予を受けながら、瀕死の状態で必死に毎日をやり過ごしている、そんな会社が全国にゴロゴロとあります。
ただ、「経営のやり方」を全く知らずに、びっくりするようなやり方で経営をしている会社も多いんです。
経営のやり方を学んだ人間が、客観的に見てアドバイスをするだけで、業況が改善することも多々あります。
日本の企業のうち、中小企業の割合は99%以上、中小企業の従業員の割合は約7割です。
中小企業が元気にならなければ、日本は本当の意味で元気にはなりません。
中小企業を支える中小企業診断士は、必要な存在です。
また、経営について一通り学べる資格ですので、大手企業でも評価が高いことはお話しした通りです。
中小企業診断士の資格を取得して独立するのではなく、現在の会社で資格の取得を通じて得た知識を活用したい人や、転職の際の武器にしたい人にとっても役に立つ資格であり、将来性のある資格だと言えます。
中小企業診断士の資格取得後の働き方
中小企業診断士の資格取得後は、
- 経営コンサルタントとして独立
- 中小企業支援機関や政府系金融機関への転職
- 一般企業の経営管理部門などで働く
という働き方があります。
まずは、コンサルタント会社に就職してから独立、という手もありますね。
「中小企業診断士として、何をしたいのか」に合わせて、働く場所を選択してください。
中小企業診断士の平均年収
中小企業診断士の平均年収は700万円から800万円と言われています。
が、はっきり言って、中小企業診断士の平均年収を知ることは、「ほぼ無意味」です。
まず、企業内で診断士資格を取って働く場合ですが、企業内で診断士資格を取ろうとする人間は、既にある程度管理などを任されている中年以上の管理職である場合が多いため、診断士になる以前からそもそも給料が高い、という事実があるからです。
なので、今、年収400万円で働いている人が中小企業診断士の資格を取ったからと言って年収700万円にはなりません。
また、独立系の診断士の年収は本当にピンキリです。
私のように1000万円を超える診断士も、ザラにいます。
もちろん、2000万円を超える診断士も。4000万円程度までは聞いても驚かないですね。
都会でコンサルタント事務所の所長クラスになれば、億も夢ではありません。(本当に一握りですが、夢はありますね。)
ですが、食べていけないようなレベルの人間も、います。
年収200万円から300万円クラスもザラにいます。
二極化が激しいですね。稼いでる人は稼いでるし、稼いでない人間は、本当に稼いでいない。
自分次第です。
夢を持って、稼いでやるぞ!という人は中小企業診断士で独立してやっていきましょう!
自分は平均的な稼ぎでいい…という場合は、今の企業で資格保持者になるか、そもそも他の資格を目指すことを勧めます。
その思考回路は、中小企業診断士にはおそらく向いていません。
中小企業診断士が稼げるようになる為の道のり
独立する場合
資格取得後、いきなり独立することも可能です。
診断士は、独占業務はありませんし、資格取得後に、「こういうことを学ばないと、実際には仕事ができない」ということはありません。
(この辺りは社会保険労務士などとは違いますね)
上述しましたが、今は国が中小企業支援に力を入れていますので、産業振興財団や信用保証協会などの組織が、「専門家派遣」事業で、中小企業が中小企業診断士のコンサルタントを受けるための費用を補助しています。
私は、信用保証協会の絡む専門家派遣で中小企業のコンサルタントを行い、そのままその企業に専属で雇われたり、信用保証協会の担当者に気に入られてかなり仕事を回してもらい、利用者からの口コミもあって一気に仕事が増えました。
国の政策に絡む仕事は、割に合わないものも多いですが、恐ろしく割のいいものもあります。
何より、独立当初の人間はとにかく知名度を上げて人脈も広げないといけないので、ガンガン様々な制度を利用していきましょう。
企業で働く場合
資格を取得したら、その旨を上司に伝えましょう。
手当がついたり異動したりできるかは、その会社次第です。
転職希望の場合は、診断士資格が有利な転職がないか、検索してみましょう。
特に記述がなくても、経営管理部門であれば、診断士資格はプラスになると思います。
中小企業診断士のステップアップ方法。おすすめのダブルライセンスは?
独立を考えている人は
などの資格も取得すると、かなり仕事の幅が増えます。
中小企業診断士は独占業務を持っていないので、独占業務がある上記資格とのダブルライセンスは、考えておきたいですね。
中小企業診断士試験の勉強方法
中小企業診断士の勉強では過去問学習が重要になります。
ですので、独学でもいいのではと感じるかもしれませんが、周りの合格者で、独学のみで合格した人はいません。
中小企業診断士試験の範囲は広汎です。7教科、510分もの試験を受けて、総得点の6割以上の正解を出さなければなりません。
一次試験のマークシート問題と、二次試験の記述問題の両方の対策が必要になりますが、一次試験後二次試験までは2か月しかなく、一次試験後に対策をしていたのでは、歯が立ちません。
一次試験の勉強をしながら、二次試験に応用できる知識を身につけなければなりません。
中小企業診断士の資格勉強をする方の多くは社会人だと思います。
忙しい社会人が、隙間時間を利用して効率よく両方の試験対策をして合格するには、通信制の講座を受講するのが一番です。
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