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現役【税理士】に聞く資格のすべて。勉強法〜稼ぎ方まで、知れば差がつく資格の現実。

資格名 税理士 (国家資格・独占業務)

管理人
管理人
こんにちは、資格の現実管理人のみなみです。

今回は、税理士の資格と働き方について、税理士のしゅうじさんに実情を伺います。

しゅうじさん
しゅうじさん
こんにちは、税理士のしゅうじと申します。

資格の大原で勉強し、2004年に資格取得。税理士歴は13年で、年収は1200万円ほどです。

私は、4年生大学卒業後に一度一般企業に就職しましたが、その会社での給料に納得がいかず、もっと稼ぎたいという気持ちから、税理士資格の取得を決意しました。
仕事をしながら3年間の勉強で税理士資格を取得し、その後税理士法人に就職。
一通り仕事を覚えてから独立し、現在は数人雇って自分の事務所をやっています

税理士も飽和状態とは言われていますが、稼いでいる人は稼いでいますよ。
今の仕事に満足していない社会人の方や、今後の進路を考えている学生さんの参考になる話ができれば幸いです。

*当サイトでは、お名前と合格年度にて本人が判明する資格につきましては、年収や業務内容について本音をお話しいただくため、仮名を利用しております。

税理士の業務内容

税理士の仕事には、税理士でないとできない「独占業務」と税理士の資格を持っていなくてもできる「その他の業務」があります。

<独占業務>

  1. 税務相談
  2. 税務書類の作成
  3. 税務代理
  4. 出廷陳述権の行使

<その他の業務>

  1. 会計業務
  2. コンサルティング業務

以下、それぞれについて、簡単に説明します。

独占業務(税務業務)

税理士の代表的な業務で、一般的に税理士の業務といえば思い当たるのがこれだと思います。

税務業務は、法律によって保護された、税理士の独占業務です。

個人事業主や会社は、所得税や法人税を国に納める必要がありますが、その計算はややこしく、自分ですることは困難です。

ですので、税理士が相談に乗ったり(①税務相談)代わりに申告書を作成(②税務書類の作成)し、提出したりします。

また、こうして行った納税に対し、税務当局が税務調査に来ることがあります。

これは、納税が適正なものかを調べる調査ですが、その税務調査に立ち会い、納税者に代わって意見を述べたり、調査結果に不服を申し立てるなど、納税者を代理する行為が、③税務代理です。

さらに、不服申し立てをしても聞き入れられず、訴訟に発展した際には、納税者の総称の補佐人として、裁判所において出頭し、意見を陳述します。(④出廷陳述県の行使)

その他の業務

税務申告書を作成する元となる資料が会計帳簿や財務諸表ですが、それらを作成するのが、①会計業務です。

また、最近需要が増えているのが、資金調達指導・経営計画書の作成指導などの②コンサルタント業務です。

資金繰りが厳しい事業主が銀行などから資金を調達する場合や、返済を猶予してもらう場合に、経営計画書の提出を求められることがあります。

ですが、事業主だけでそのような計画書を作ることは難しいですので、税理士がアドバイスしたり(実質的にはほぼ税理士が作ったり…)します。

そういう計画の作成も含め、資金面でのコンサルをしたり、指導をすることが増えています。

中小零細企業になると、資金管理は二の次で、とにかく目の前の仕事にしか頭がいかない事業主も多くいます。

事業の目的は利益を上げることなのに、とにかく売り上げを上げるために採算度外視の受注を受け続けたり…

利益を生み出すのには数字をきちんと把握することが重要です。

その重要性も含め、指導していくのは税理士の役割だと感じています。

税務業務は、言ってしまえばどの税理士がやっても同じで、これからの時代の税理士は、このコンサルティング能力で、各々の能力を発揮する必要があり、ニーズもあると思います。

税理士試験の合格率・難易度

税理士試験の合格率

受験者数 合格率
平成26年 41,031人 16.8%
平成27年 35,589人 18.1%
平成28年 38,175人 15.8%
3年平均 38,265人 16.9%

出典:国税庁

税理士試験の難易度

税理士の難易度はかなり高いです。
国家資格の中で、会計系の資格で最高峰は公認会計士であることは間違いなく、その次のレベルに税理士があります。(公認会計士の登録をすれば、税理士の業務はできます)

後述しますが、税理士試験は科目合格制であるため、「受験しやすい資格」として認識される傾向もありますが、科目合格制であるがゆえに、10年近く勉強を続けてしまっている受験生も多く存在します。

少しずつでも合格すると、もったいなくて「最後まで」と思ってしまう。

しかし、なかなか最後まで受からなくてずるずると何年も時が経ってしまった…という受験生を山ほど見てきました。

税理士は難しい資格ですが、科目合格制の為、本当の難易度よりもとっかかりやすく見えて、頑張ってしまう受験生が多いというのが特徴です。

始めるならば、2〜3年で取り切る覚悟で、試験に挑みましょう。

税理士試験の受験資格

  1. 大学・短大・高等専門学校で法律学または経済学に関する科目を1科目以上履修し卒業した者
  2. 法律学または経済学に関する科目を含め62単位以上取得した大学3年次以上の学生
  3. 司法試験の合格者
  4. 日本商工会議所主催の簿記検定1級合格者または全国経理教育協会主催の簿記能力検定試験上級合格者(昭和58年度以降の合格者に限る)ほか
  5. 一定の専修学校の専門課程を狩猟した者で、法律学または経済学を1科目以上履修した者
  6. 法人または事業を行う個人の会計に関する事務に3年以上従事した者
  7. 銀行、信託会社、保険会社などにおいて、資金の貸付・運用に関する事務に2年以上従事した者
  8. 税理士・弁護士・公認会計士などの業務の補助事務に2年以上従事した者 ほか

(詳しくは、各国税局人事第二課試験担当係または国税庁国税審議会税理士分科会まで)

税理士試験の内容

会計学

  1. 簿記論
  2. 財務諸表論

税法:次の①〜⑨から3科目選択。ただし①と②のいずれかは必ず選択。④と⑤、⑦と⑧はそれぞれどちらかの一方の科目しか選択できない。)

  1. 所得税法
  2. 法人税法
  3. 相続税法
  4. 消費税法
  5. 酒税法
  6. 国税徴収法
  7. 住民税
  8. 事業税
  9. 固定資産税

会計学2科目+税法のうち3科目の計5科目に合格すれば、税理士の資格が与えられる。
科目合格制のため、何年かけて受験しても良い。
(例えば、1年に1科目のみでも可)

試験日

  • 8月上旬〜中旬

受験手数料

  • 1科目:3,500円
  • 2科目:4,500円
  • 3科目:5,500円
  • 4科目:6,500円
  • 5科目:7,500円

税理士の資格取得後の働き方

  1. 税理士法人・税理士事務所で勤務税理士として働く
  2. 税理士事務所を開設する
  3. 親の税理士事務所を引き継ぐ

税理士の資格を取得した以上、9割以上の人が、税理士として働きます。

しかし、税理士業務をするには税理士登録が必要ですが、税理士登録には、2年以上の実務経験が必要になります。

実務経験は、勉強しながら(資格取得前に)積んでも構いませんので、何科目か合格した受験生は、最終合格前から会計事務所などで働いたりするケースが多いです。

税理士受験の専門学校にはよく求人がきています。受験生を雇う会計事務所は多いので、そういった求人や、税理士業界に特化した求人サイトなどで探すのがオススメです。
今すでに、税理士の勉強を始めている方や、科目合格している方は、こちらのサイトがオススメです
MS-Japan

税理士の平均年収

「賃金構造基本統計調査」によると、平成27年度の税理士の平均年収は717万円です。

ただ、この統計は、独立した税理士と勤務税理士が一緒になっています。

独立した税理士の年収が1,000万円を超えることは珍しくなく、独立して成功している税理士であれば、年収2,000万円くらいが多いといわれています。

ただ、昔は税理士になりさえすれば稼ぐことができましたが、そのような時代は終わりました。

税理士の主要顧客である中小零細企業は不況にあえいでおり、せっかく顧客を確保しても廃業や倒産で減少することも多いですし、税理士も飽和状態で、何らかの形で他の税理士と差別化しなければなりません。

税理士なら誰でもできる税務業務に加えて、コンサルティング能力を発揮できる税理士が、顧客を増加させています。

税理士のステップアップ方法

ダブルライセンスとしては、

  • 中小企業診断士
  • 社会保険労務士
  • ファイナンシャルプランナー

あたりがおすすめです。

中小企業者を対象に、他の分野のコンサルティングをするための資格ですので、税理士とのダブルライセンスにより仕事の幅がグンと広がります。

特に最近は中小企業診断士資格を持っている税理士は、仕事の受け皿が広くなっているように感じます。

税務面、経営面両方からアドバイスできる人材は重宝されますよ。

税理士試験の勉強方法

まず、独学で全科目合格を目指すのは無謀だと思います。

私の周りで、独学で資格取得にたどり着いた人はいません。

難易度が高く、試験期間も短くて2年、長いと5.6年(もしくはもっと)かかる資格ですので、ペースペーカーは必要ですし、モチベーションを保ち続けるためにも、専門学校へ通う事をオススメします。

通信講座でも良いのですが、他の受験生とも関われるという意味で、個人的には通学生を推します。

時間的に厳しいという方は、通信でも良いとは思います。

税理士試験のおすすめ通信(通学)講座

 

資格の大原
 圧倒的な合格実績を誇り、専任講師の質、教材の質の良さに定評あり。WEBでの講義が教室通学・映像通学・DVD通信に無料で標準装備されている為、急に講義を休んでも、受講のペースを乱さず学習の継続が可能です。
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税理士資格といえば、大原とTACで悩む方も多いかと思いますが、私は大原にしました。税理士の副業が多い他の資格学校と異なり、大原は専任教師により、統一された授業が行われているのが特徴で、他の通学制の学校にありがちな、先生の当たり外れというのが少ないのが特徴です。先生との距離も近いので、質問がしやすいのも良いですね。また、「脱丸暗記」を掲げた授業で、初学者にも理解しやすい内容になっていると思います。

税理士のまとめ

しゅうじさん
しゅうじさん

独立して仕事をしていきたい人には、税理士は役に立つ資格です。

昔のように、資格をとりさえすれば「先生、先生」と崇められる時代は終わりましたが、コンサルティング能力を磨き、企業の利益を上げることにやりがいを見出せる人なら、面白い上に、十分稼げる可能性の高い資格です。社会的ステータスも高いです。

資格取得は大変ですが、それに見合うリターンはありますよ。

せっかく稼げる頭があるのに、給料の安い会社でやきもきしてる方、時間、無駄にしていませんか?

やる気さえあれば、私のように会社で働きながらでも資格取得は可能です。挑戦してみませんか?

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